サブリミナル効果がポッキーCM【都市伝説】に使われてたのはホント?

サブリミナル効果とは主に、視聴者が気づかないレベルの短い映像等を瞬間的にCMなどに挟み込むことで、視聴者の潜在意識へ働きかけ、無意識のうちに影響を及ぼすことを狙った手法を指します。

そんなサブリミナル効果がポッキーのCMに使われていたという都市伝説があるのはご存じでしょうか?本記事では、そのウワサの内容や信ぴょう性を検証します。

目次
  1. ポッキーは本当にサブリミナル効果を狙っていたのか
  2. サブリミナル効果とは?わかりやすく解説
  3. 例えばアニメや映画で使われた例は?
  4. サブリミナル効果が禁止された理由について
  5. サブリミナル効果が怖いのは嘘?
  6. サブリミナル効果をポッキーが用いたとする声について
  7. コーラやディズニーのCMでも使われている?
  8. 総括:ポッキーはサブリミナル効果を用いたのか

ポッキーは本当にサブリミナル効果を狙っていたのか

ポッキーのCMは本当にサブリミナル効果を狙っていたのでしょうか?

その真偽を明らかにする前に、まずはサブリミナル効果について、おさらいをしましょう。

サブリミナル効果とは?わかりやすく解説

サブリミナル効果の理論が唱えられ始めたのは古く、1897年にイエール大学のE.W. Scripture博士によるところまでさかのぼります。とはいえ、その頃はあくまで学術的な研究の一環であり、私たちにはあまり関係が無い話でした。

サブリミナル効果をわかりやすく言い換えると、対象者本人が気づかない間に瞬間的な刺激を視覚・聴覚・触覚に与えることで、対象者に自覚のないままに、その後の行動に影響を与えることができるとする理論です。

実際にサブリミナル効果が商業的に利用され、多くの人の目に留まることとなったのは、1950年代以降にマーケティング会社がサービスや商品の販売促進を目的にして使用してからです。

出典元:illust image

1957年にはアメリカのリサーチ機関がテストとして、映画の上映中にサブリナルを用いてコカ・コーラとポップコーンの宣伝をステルスでおこなったところ、コーラについては18.1%、ポップコーンについては57.5%の売上増加がみられたという逸話があります。

この逸話は非常に有名なため、サブリミナル効果は非常に洗脳する力が強く、怖いものだという根拠の一つになっていると思われます。ただし後述する通り、この実験には後日談があり、その信ぴょう性にはかなり怪しい面があるもの事実です。

例えばアニメや映画で使われた例は?

映画「ファイトクラブ」のように、登場人物がストーリー上でサブリミナル効果を用いるエピソードは少なからず存在しますが、実際にサブリミナル効果を用いているケースは、実はそれほど多くはありません。

アニメが問題となった事例

1995年に放映された「シティハンター3」の再放送で、当時社会的な問題となっていた某宗教団体の教祖の顔がサブリミナル的に挟まれていたことが明らかとなり、大きな問題となりました。しかしこれは1989年の分の再放送であり、1989年時点では当該教団の違法性は明らかとなっていなかったため、いたずらとして画像が混入していたとする説が濃厚です。

なぜなら1980年代から1990年代前半までのアニメにおいては、制作スタッフがいたずらとして一瞬だけ無関係の画像を差し込むことが流行っており、教祖の顔の直後には別のアニメのキャラクターである「かわうそ君」の画像が差し込まれていました。

映画で意図的に演出として取り入れられた事例

1994年公開の映画「RAMPO(奥山バージョン)」では、サブリミナル的な演出手法を採用したことを公言していました。いまだDVDやブルーレイディスク化していないようで、カルト的な知る人ぞ知る映画となっています・・・。

しかし翌年1995年に「シティハンター3」でサブリミナル的手法についての社会的な批判が高まったことを受けて、WOWOWでのテレビ放映時には該当シーンはすべてカットされました。

CMとCMの間で別の画像が見えた事例

動体視力が良い人の場合、CMとCMの間に一瞬他の商品の画像が見えることがあるようです。ある人にとってはサブリミナル的な画像が見えて、ある人には見えないという辺りが、まさにサブリミナル画像っぽいですよね・・・。

出典元:Yahoo知恵袋

しかしこの場合は種明かしがあり、結論としてはサブリミナル効果を狙ったものではないと思われます。例えば地方局のCMでは東京のキー局から飛ばされる映像電波にCM部分を上からかぶせて放映するような方式が存在しているそうです。どうしてもCM同士の尺が揃わないことはあるため、このタイミングがズレることによって一瞬、無関係の映像が映り込んでしまうことがあるようです。

なお、これには電話の上乗せ説の他に、全国放送局とローカル放送局のCMを切り替える装置にタイムラグがあるためとする説もありますが、いずれにせよわざとではなく、CMの内容を切り替える際の技術的な要因と言えそうです。

サブリミナル効果が禁止された理由について

アメリカにおいては1973年の時点で、ゲームのテレビCMに「Get it(手に入れろ)」とのサブリミナル映像が挟みこまれていたことがジャーナリストによって明らかにされ、問題視されることとなりました。翌年には連邦通信委員会により早々にサブリミナルの禁止が言い渡されています。

サブリミナルの効果がどのくらいあるのかについては、まだ定説が定まっていないところではあります。しかしそもそも、視聴者の気づかない間に洗脳をしようとしている行為に明らかに問題があると考えられますので、その理論の存在が広く知られてしまった以上、有効性はともかく禁止となるのは当然のことと言えます。

日本においても、前述した1957年のアメリカの映画館での実験の成果を受けて、1959年頃までのCMではサブリミナル効果を狙った試みが試されることもありましたが、批判が殺到したため、サブリミナル的な手法は取りやめるように日本民間放送連盟で取り決めがなされました。しかしそれから時を経て、徐々に運用ルールは緩くなっていたようです。

前述の1995年の「シティーハンター3」再放送の件が大問題となったため、あらためて明確に1995年にNHKがサブリミナル効果を禁止しており、続いて1999年には日本民間放送連盟がサブリミナル効果を狙う表現を禁止しています。

サブリミナル効果が怖いのは嘘?

現在では、サブリミナル効果はそもそもが嘘で、「当初思われていたような効果は無いのではないか?」とする声も多く、いささか都市伝説的な扱いとなっている面は否めません。

たとえば、前述したアメリカの映画館でおこなわれたとされるコーラとポップコーンの実験には後日談があります。なんと、実験を主催した会社自身が「データが十分に存在しておらず、そもそも実験は未実施であった」と発言しているのです。

新潟大学の鈴木光太郎教授をはじめ、このエピソードについてさまざまな研究者や批評家が考察を加えていますが、いずれも「この実験はそもそもおこなわれていなかった」と結論づけています。

さらに、1998年刊行の「プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く」では、その後もサブリミナル効果については多くの論文が発表されてはいるものの、きちんと効果を実証できたものは皆無とされています。

とはいえ極めて限定された状況下においては、サブリミナル効果が有効に働く可能性もまだ残されているそうです。たとえば、ただ映画やCMを見ている最中にコーラの映像を見せても無意味ですが、コーラが元から好きな人が疲労している状態で映像を見せると、若干の暗示効果が得られたそうです。

しかし、限定された状況下でそのレベルの影響度が観測できる程度の話のため、サブリミナル効果は当初イメージされたような洗脳の秘密兵器のようなものではないことがわかるエピソードではないでしょうか。

サブリミナル効果をポッキーが用いたとする声について

ポッキーのサブリミナル説には2種類の話があります。

昔のCMでの誤ったウワサ

2003年頃、女性芸人グループのオセロの2人が出演していた「ポッキーデコレ」というお菓子のCMで、サブリミナル効果が使われているんじゃないかというウワサが広まったことがあります。モンブラン味を紹介した直後に「NAZO◆」という文字が出るというウワサでした。

出典元:5ch

しかし実際のCMの画像を超スローで確認してみたところ、そのような現象は確認できませんでした。また、ポッキー販売元のグリコもこの話は嘘であるとしているようです。

すごくポッキーが好きという例え

先ほどの例のように、ホントにサブリミナル効果が使われていたという意味合いではなく、ポッキーが食べたくなったのはサブリミナル効果のせいに違いないとするジョークの意味で「サブリミナルポッキー」という言葉が一般的に用いられています。

出典元:twitter

そもそも気づいている時点で、実際のサブリミナルではないですものね 笑

出典元:twitter

CMや店頭のPOPなどで、思わずポッキーを買ってしまう現象を指しているようです。

出典元:twitter

たしかにポッキーは、特に意識せずにふと手に取ってしまっているという意味において、究極のサブリミナルとも言えるかもしれませんね!笑

コーラやディズニーのCMでも使われている?

前述のように、サブリミナル効果の根拠とされていた実験ではコカ・コーラとポップコーンが用いられていました。しかし繰り返しになりますが、この実験自体がデマでした。さらにもちろんのこと、実験ではなく一般向けのコーラのCMでも、サブリミナル効果が用いられていた事例は見当たりませんでした。

その他、よくアメリカの販促ポスターなどで隠されたメッセージを絵柄に入れ込むケースなどが、サブリミナルの事例として挙げられることがあります。例えば、瓶のカタチが人間の一部のパーツを表現しており、それによって欲望が刺激される等の話です。

しかしながら、これは隠されたメッセージという面はあるものの、知覚できない条件であるというサブリミナルの定義からは厳密には外れていると考えられます。

ディズニーについても、意図的にサブリミナルを用いているということはないと考えられます。常識的に考えれば、あれだけブランド構築に多額の費用を投じて、そのブランドを大切にしている会社が、炎上リスクを負ってまで効果が定かではないマーケティング手法をおこなう意味がないと思われます。

また、ディズニーの絵柄の一部を切り取って、隠されたメッセージがあると読み解くファンも一部に居るようですが、それはサブリミナルの定義を拡大解釈し過ぎていると思われます。仮に何かしらの暗喩が隠されていたとしても、それはサブリミナル効果とはまた別の話です。

総括:ポッキーはサブリミナル効果を用いたのか

以下に本記事のポイントをまとめます。

サブリミナル効果とは対象者が気づかない内に視覚・聴覚・触覚へアプローチして知らぬ間に影響を及ぼす効果のこと。

ポッキーのCMでサブリミナル効果が使われているというウワサがある。

サブリミナル効果の歴史は古く、1957年のアメリカの実験が元となっている。しかし後にこの実験はガセだったことが明らかになった。

アニメ「シティーハンター3」や映画「RAMPO(奥村バージョン)」でサブリミナル効果が用いられた。特に「シティーハンター3」は公言されておらず、演出の域を超えたものであったため、大問題となった。

その他、全国放送と地方放送のCMを切り替える際に、技術的な理由でサブリミナルのような現象が起こることがある。

サブリミナル効果は、実際の有効性はともかく、そもそも視聴者を洗脳しようとする目的と捉えられるため、当然のごとく禁止となった。

サブリミナル効果の根拠とされる実験自体が嘘であり、その後もきちんと実証されたことがほとんどないため、有効性にはかなりの疑問が残る。

かなり限定的な条件の下では、ある程度の効果が見込める可能性も残されている。

ポッキーの昔のCMでサブリミナル効果が取り入れられていたというウワサがあったが、これはガセの模様。

ポッキーのCMや販促が魅力的なため、知らず知らずにポッキーを手に取ってしまっていたという例えで、サブリミナルポッキーという造語が一般的になりつつある。

 

 

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